宅建業免許を取得するためには、次の7つの条件をクリアしている必要があります。
- 会社名(商号)・名称は問題ないか
- 事業内容に宅建業に関する項目が入っているか(法人のみ)
- 代表者及び事務所の責任者は常勤するか
- 専任の宅地建物取引士は常勤するか
- 事務所は独立した適切なもので業務に必要な備品が設置されているか
- 営業保証金を供託するまたは保証協会に加入するか
- 免許を受けられない場合に当てはまらないか
クリアできていないものがあれば、条件を満たすように整備をおこないます。
それぞれ詳しく解説します。
7つの条件は全て重要です。
条件をクリアしていないと宅建業免許を取得できません。
漏れがないように問題がないか確認しましょう。
会社名(商号)・名称(屋号)は問題ないか
1つ目の条件は、法人の場合は会社名(商号)・個人事業の場合は名称(屋号)が次に該当しないことが必要となります。
- 法令上、その商号、名称が禁止されているもの
- 地方公共団体又は公的機関の名称と紛らわしいもの(例:○○公社、○○協会)
- 指定流通機構の名称と紛らわしいもの(例:○○流通機構、○○不動産機構)
- 個人業者の場合、法人と誤認される恐れのあるもの(例:「○○不動産部」の「部」等法人と誤認される恐れのあるもの)
- 個人業者の場合、同一市町村内で既に他の宅建業者が使用している名称
- 変体仮名及び図形又は符号等で判読しにくいもの
上記に当てはまる場合、会社名(商号)・名称(屋号)の変更を指示される場合もありますので、これから会社を設立する場合は、特に注意しましょう。
事業内容に宅建業に関する項目が入っているか(法人のみ)
2つ目の条件は、会社の定款の事業内容(事業目的)に宅建業に関する内容が記載されていることです。
例えば、次のような内容が履歴事項全部証明書に記載されていれば問題ありません。
記載がない場合には追加の登記申請をおこなえば大丈夫です。
- 宅地建物取引業
- 不動産の売買、賃貸借及び仲介、代理、交換
これから会社を設立する場合は、必ず、事業内容に宅建業に関する内容をいれましょう。
代表者及び事務所の責任者は常勤するか
3つ目の条件は、宅建業の事務所には基本的には代表者(代表取締役)が常勤していることです。
法人の場合で事務所が1つの場合は代表取締役が常勤することになります。
法人の場合で代表取締役の方が複数の会社を経営していて他の会社で常勤が必要なこともあります。
この場合は、宅建業免許を申請できないでしょうか。
答えは「申請できる」です。
宅建業免許を申請する法人で代表取締役の方が常勤できない場合は、常勤できる代表者(政令使用人といいます)を選任すれば大丈夫です。
代表取締役の方が常勤できない場合は、専任の宅地建物取引士の方を事務所の代表者とすることが多いです。
専任の宅地建物取引士は常勤するか
4つ目の条件は、事務所に専任の宅地建物取引士が常勤することです。
宅建業の事務所は本店所在地のみで、代表取締役の方が常勤でき、宅地建物取引士証の交付を受けている場合は、3つ目とこの条件をクリアできますので、問題になることはないかと思われます。
宅地建物取引士を雇用する必要がある場合は、次の点に当てはまらないか確認してください。
当てはまる場合は、専任の宅地建物取引士となることができませんので、注意しましょう。
- 他の法人の代表取締役、代表者や常勤の役員となっている場合
- 一般的に営業時間に宅建業者の事務所に勤務することができない状態にある場合(例:会社員、公務員のように他の職業に従事している場合や、他の個人業を営んでいる場合など)
- 通常の通勤が不可能な場所に住んでいる場合
- 監査役など当該業者の業務執行に従事できない場合(会社法による)
- 在学中の大学生の場合
- 勤務時間が営業時間の一部に限定された非常勤職員・パートタイム職員の場合
- 7つ目の条件「免許を受けられない場合」に当てはまる場合
専任の宅地建物取引士は、宅地建物取引士試験に合格しているだけではクリアできません。
宅地建物取引士の登録をおこない、宅地建物取引士証が手元にある状態が必要です。
事務所は独立した適切なもので業務に必要な備品が設置されているか
5つ目の条件は、宅建業を行うための事務所があることです。
事務所は、継続的に業務を行うことができる施設で、他の業者や個人の生活部分からの独立していることが必要です。
他の法人や個人の事務所との混在や、居住場所との区分が明確でない事務所の場合には、免許を取得できません。
また、宅建業の業務をおこなうために必要な事務机・椅子、固定電話などの備品が設置されていることが必要となります。
これから宅建業免許を申請する場合、申請書に記載された固定電話に役所から実在するかどうかの確認のため電話があります。
営業保証金を供託するまたは保証協会に加入するか
6つ目の条件が、営業保証金を供託するまたは保証協会に加入することです。
営業保証金の場合は、事務所が本店所在地の1つの場合は、1,000万円を最寄りの法務局に供託します。
保証協会に加入する場合は、入会申込書を提出し、業務分担金を保証協会を通じて納付することで条件をクリアできます。
免許を受けられない場合に当てはまらないか
7つ目の条件が、免許を受けられない場合(欠格要件といいます)に該当しないことです。
具体的には、代表者、法人役員、事務所の代表者(政令の使用人)、専任の宅地建物取引士が次に該当する場合には、免許を受けることができません。
- 営業に関して成年者と同位置の能力を有しない未成年者。ただし欠格事由に該当しない法定代理人がいれば原則としてはOKです。
- 成年被後見人、被保佐人、復権を得ていない破産者
- 禁固、懲役に処せられた者
- 宅建業法違反で罰金に処せられた者
- 暴行、傷害、脅迫など暴力団系の犯罪で罰金に処せられた者
- 不正の手段で免許を取得した者(取消から5年間)
- 業務停止処分事由の情状が特に重い者(取消から5年間)
- 免許取消処分を受けた者(取消から5年間)
これから専任の宅地建物取引士を雇用する場合などは、雇用前に必ず上記に該当していない確認しましょう。
宅建業免許申請の際にわかると免許を取ることができず、準備した時間・労力・資金が無駄になってしまいます。