都道府県知事免許と国土交通大臣免許とは
宅建業の免許には、事務所が設置されている都道府県の数によって、次の区分があります。
1つの都道府県に事務所を設置している場合は都道府県知事免許となります。
2つ以上の都道府県に事務所を設置している場合は国土交通大臣免許となります。
1つの都道府県に事務所を設置している場合 | 都道府県知事の免許(知事免許) |
2つ以上の都道府県に事務所を設置している場合 | 国土交通大臣の免許(大臣免許) |
例えば、愛知県内のみに事務所がある場合は、愛知県知事免許となります。
また、愛知県内に宅建業の本店事務所があり、岐阜県にも宅建業の事務所がある場合は、国土交通大臣免許(中部地方整備局)となります。
愛知県内のみに事務所がある場合 | 愛知県知事免許 |
愛知県内に宅建業の本店事務所があり、岐阜県にも宅建業の事務所がある場合 | 国土交通大臣免許(中部地方整備局) |
都道府県知事免許と国土交通大臣免許の違い
都道府県知事免許と国土交通大臣免許には、事務所が1つの都道府県にある場合(都道府県知事免許)と複数の都道府県にわたり事務所がある場合(国土交通大臣免許)で免許を与える機関に違いがありますが、その他に申請先・審査期間・申請手数料にも違いがあります。
表にまとめると次のようになります。
※愛知県内に本店があり、これから宅建業免許を取得する場合
都道府県知事免許 | 国土交通大臣免許 | |
申請先 | 愛知県知事 | 中部地方整備局 |
営業開始までの期間 | 3~4カ月 | 4~5か月 |
申請手数料(登録免許税) | 33,000円 | 90,000円 |
なお、免許の有効期間は、都道府県知事免許と国土交通大臣免許のどちらも5年間です。
Q&A
- 名古屋市に本店があり、豊田市に支店を出す場合は、愛知県知事免許のままでよいですか?
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はい。この場合、愛知県県知事免許のままとなります。
愛知県内に宅建業の事務所がいくつあっても愛知県知事免許となります。
愛知県以外の都道府県に宅建業の事務所を出す場合は、国土交通大臣免許(中部地方整備局)となります。
- 名古屋市に本店があり、三重県でも宅建業を始めたい場合は、愛知県知事免許と三重県知事免許が必要でしょうか?
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いいえ。名古屋市に本店があり、三重県でも宅建業を始める場合、国土交通大臣免許を取得することになります。
国土交通大臣免許になると現在の愛知県知事免許の番号がかわります。
また、国土交通大臣免許が出るまでは、愛知県知事免許は有効ですので、国土交通大臣免許の申請をすると宅建業を営業できなくなる期間はありません。
- 名古屋市に本店があり、宅建業と建設業などを営んでいます。大阪に建設業の営業所を追加する場合、宅建業免許も取得する必要がありますか?
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大阪の営業所で宅建業をおこなわない場合は、宅建業免許に関しては、愛知県知事免許のままとなります。
ただ、建設業許可に関しては、大阪の営業所で見積書の作成・契約締結などをおこなう場合は、国土交通大臣許可が必要となりますので、ご注意ください。
- 岐阜県に本店があり建設業を営んでいます。新規事業として名古屋市で宅建業を始める場合、愛知県知事免許を取得すればよいでしょうか?
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登記上の本店所在地が岐阜県にあり、名古屋市で宅建業を始める場合、次の2つの方法が考えられます。(岐阜県での建設業の営業所と登記所在地が同じ場合)
①登記所在地を名古屋市へ移転し、愛知県知事免許を取得する
②国土交通大臣許可を取得する(岐阜県・愛知県(名古屋市)と宅建業を営む)
都道府県知事免許と国土交通大臣免許のどちらになるかと考えるうえでのポイントは次の3つです。
ポイント- 宅建業免許申請において登記上の本店所在地は、必ず、宅建業を営業する必要がある。
- 建設業許可において登記上の本店所在地と建設業を営業する本店所在地(主たる営業所といいます)は別でOK
- 宅建業を営む事務所を増やす場合、専任の宅地建物取引士も増やさなければいけない。
宅建業免許申請において登記上の本店所在地は、必ず、宅建業の事務所となります。
そのため、現状のまま名古屋市で宅建業の免許を取得する場合は、②の国土交通大臣免許を申請することになります。
ただ、宅建業の事務所が2つの場合、専任の宅地建物取引士が最低2名必要となります。
代表取締役や役員の方が宅地建物取引士の資格がなく、専任の宅地建物取引士を2名とも雇用する場合、募集費用・毎月の給与支払い・社会保険料の支払いなどが事務所1つの場合に比べて2倍になります。
そのため、資金に余裕がないと事業を継続することが難しくなる可能性があります。
また、雇用した専任の宅地建物取引士がやめた場合、その事務所では宅建業の営業ができないため、事務所の家賃などのコストばかりがかかる状態となります。
このようなリスクを考えると①の登記所在地を名古屋市へ移転し、愛知県知事免許を取得し、事務所1つで宅建業をスタートする方法が現実的かもしれません。